ピンクコートへの手紙1 君は最悪だね
やあこんにちは。ピンクコートくん。
君に対して手紙を書くことにしたよ。当然のように、君は僕であり、僕は君だ。しかし、君は君でありながら、僕にずっと話しかけているよね。そして、それを口にせず誰にもきかせていない。それがおかしいことだとわかっているから。他にそうしている人がいるのか、わからないから。
だから、こんな誰も読まないような場所を作って、そこでそれを書こうとした。そして誰かに読んでほしいと思った。「監視」から逃れて、それを書こうとした。「監視」がされているのかどうか、それすらも確認できない、そういう状況に自分で追い込んでしまった。それは自分が悪い、馬鹿だった。それが本当の原因だった。
しかし、君の状況は悪くない方向に向かっている。そうなればいいと思う。でも、まだ確信は得ていない。書類的にも。次の会合の持参物は筆記用具だけだ。大嫌いで必要がないと思うけど、ここ数ヶ月で何回も必要となった「判子」がなかったね。つまり、まだ明日そこへいくだけで仕事が決まったわけではない。
判子はもっていこう。明日はたった1時間の会合だから、何のこともなく終わるのだろう。でも不安で仕方がない。なぜだろう?
昨日もその前も、君は大号泣してしまったね。
一つは己の失敗、結果では失敗ではなかったのだけれど「失敗をした」と思ったそのことに対して。
そして失敗ではなかったことに安心して、泣いてしまった。
そして昨日。昨日は、とても素敵な日になるはずだったのに、また誤ちですべてを台無しにしてしまった。本当に情けない人間だね。悲劇だよ。君の存在は。悲劇だ。
「いつこの悲劇が終わるのか」なんて思っていたね。
その事が起こる前、朝、君はしまっていた「ノート」を久々に見たよね。
ノートに直筆で書いた「日記」
そこには、君が本当に本当に苦しんでいたあの日々が、綴られていたね。
あれは、誰に向けて書いていたのかな。あんなことを残して、誰に伝えようとしていたのかな。
君の状況はよくなっているよ。
もう街に出られた。
もう解放されたんだ。
しかし、まだ自立していない。
それをつかもうよ。あれもこれも、手に入れよう。
我慢していたことを、我慢しなくていいんだ。
誇りを取り戻そう。誇りを。物だけではなく、誇りを。
がんばれよピンクコート。
お前は、まだまだ生きるんだ。
クソだけどクソのままでいい。気張るなクソやろう。
ほんとうにほんとうにこころをこめて。君は最悪だ!